刀(銘)肥前国住藤原忠廣
寛永十一年八月吉日



 刃長  ニ尺一寸五厘(63.8cm)
反り     五分三厘(1.6cm)
元幅      九分九厘(3cm)
先幅    六分五厘(1.97cm)

(財)日本美術刀剣保存協会 特別保存刀剣鑑定書


 近江大掾忠廣は、初代忠吉の嫡子で、本家二代目を継いだ後、寛文十八年に近江大掾を受領した。
 本作は、近江大掾を受領する前の寛永十一年の作であるが、近江大掾の実力が存分に発揮された会心の出来栄えである。この頃の作品には父忠吉に迫る名作があり、初代の協力者達が現存して、彼に協力したことも要因の一つと考えられる。
 刃文は丁字乱れに互の目、劣り刃も交じり包深く砂流しが盛んに入り、僅かに湯走り風の飛焼を交え包口明るく冴える。鍛えは小板目肌がよくつみ、地沸厚くつき米糠肌である。また、この刃文は相州伝上工を彷彿とさせる出来と寸法より、特別注文であったことがうかがえる。
 附属の拵は、鞘の塗りがとても珍しく類品は少ないが、品格を備えた保存状態の良い拵である。